人生100年時代、あなたに必要な「本当の老後資金」の計算方法


はじめに:「老後2,000万円問題」の罠。実は人によって全く違う!

「老後には2,000万円必要らしいから、とりあえず貯金しなきゃ…」と焦っていませんか?数年前に大きな話題になった「老後2,000万円問題」ですが、実はこの数字、ある特定のモデル世帯の平均値から算出されたものに過ぎません。

持ち家の有無、もらえる年金の額、そして何より「どんな老後を過ごしたいか」という理想のライフスタイルは人それぞれ異なります。「あなたにとって本当に必要な老後資金」は、2,000万円よりずっと少ないかもしれないし、逆に3,000万円以上必要な可能性もあるのです。漠然とした不安を消し去るために、まずはご自身に必要な「本当の目標額」を導き出す計算方法を知りましょう。

【ステップ①】まずは老後に「入ってくるお金」を把握する

老後資金の計算は、土台となる「収入」を正確に知ることから始まります。

1.「ねんきん定期便」で将来の年金額を確認
毎年誕生月に届く「ねんきん定期便」や、日本年金機構の「ねんきんネット」を活用し、65歳から受け取れる年金の見込額を確認しましょう。会社員として厚生年金を長く払ってきた人と、自営業で国民年金のみの人とでは、受け取れる金額に大きな差が出ます。

2.退職金やその他の収入を見積もる
会社の退職金規程を確認し、定年時におおよそいくら受け取れるかを把握します。また、定年後も65歳や70歳まで再雇用などで働く予定があれば、その期間の収入も「入ってくるお金」としてしっかりカウントできます。

【ステップ②】老後に「出ていくお金」をリアルに想像する

次に、老後の生活に毎月いくら必要なのかをイメージします。ここでの見積もりの甘さが、老後の生活苦を招く原因になりかねません。

1.「基本の生活費」は現在の7〜8割が目安
食費や光熱費などの基本生活費は、一般的に現役時代の7〜8割程度に落ち着くと言われています。ただし、「たまには夫婦で旅行に行きたい」「趣味を満喫したい」というゆとりある老後を望むのであれば、その分の予算(月数万円)を上乗せしておく必要があります。

2.絶対に忘れてはいけない「特別支出」
毎月の生活費以外に、まとまって出ていくお金を想定しておくことが極めて重要です。マイホームの修繕・リフォーム費用、車の買い替え費用、そして万が一の時の「医療費・介護費用」などです。これらは生活費とは別に、数百万円単位の「予備費」として確保しておく必要があります。

【最も重要!】「本当の老後資金」を導き出す簡単シミュレーション

入ってくるお金と出ていくお金がイメージできたら、いよいよあなたに必要な老後資金(不足額)を計算します。人生100年時代を踏まえ、65歳から95歳までの「30年間」でシミュレーションしてみましょう。

【計算式】
(老後の毎月の生活費 - 毎月の年金受取額) × 12ヶ月 × 30年 + 特別支出(予備費) = あなたの本当の老後資金

例えば、毎月の生活費が30万円、年金が22万円の世帯の場合、毎月の赤字は「8万円」です。
8万円 × 12ヶ月 × 30年 = 2,880万円。これに介護やリフォームの予備費として500万円を足すと、必要な総額は「3,380万円」となります。ここから退職金(例:1,500万円)を差し引いた残り【1,880万円】が、現役時代にNISAやiDeCoを使って自力で作るべき「本当の目標額」になるのです。

数字を出して「全然足りない…」と焦る前に

この計算をしてみて、「全然足りない!」と青ざめてしまった方も安心してください。目標額が明確になれば、あとはそこに到達するための「手段」を選ぶだけです。

しかし、目標額に対して「毎月いくらNISAで積み立てれば間に合うのか」「iDeCoとどう組み合わせれば一番効率的か」を自力で計算し、実行し続けるのは至難の業です。だからこそ、まずはIFAやFPといったお金の専門家に相談し、精密なライフプラン・シミュレーションを作成してもらいましょう。「何歳までにいくら」という明確なゴールと、そこへ向かうためのプロ専用のナビゲーション(運用計画)を手に入れること。それこそが、老後の不安を将来の希望へと変える、最も確実な第一歩となります。
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